アセスメント

2015/10月/07日(水曜日)

本日は朝4時に起床し、スピンバイクを1時間ほど漕ぎながら、久しぶりに《The Science of Lance Armstrong》を視聴しました。

この番組は、「小さな積み重ねの重要性」を改めて気づかせてくれます。かつて実業団でプロツアー選手として全国を転戦していた頃、この映像を何度も繰り返し観て、自身の練習や意識づけの支えにしていたことを思い出します。

30歳を過ぎてからランス・アームストロングの書籍に出会い、そこから本格的にロードレースを始めた当時の情熱が、今も胸の奥に残っています。改めて、自転車と出会えたこと、その原点に触れられる時間は、かけがえのないものですね。

この番組の中では、チームがバイクやホイールなどの機材における軽量化や空力(エアロ)性能への追求はもちろん、ウェアの軽量化やディンプル加工、さらにはライディングフォームによる空気抵抗(Drag)への影響、DHバーを握る親指の位置に至るまで、徹底的に検証し、風洞実験施設で何度も実験を繰り返している様子が紹介されています。

現在では、これらの取り組みはプロチームにとってごく当たり前のものとなっていますが、当時としては極めて先進的な試みでした。たとえば、現在ではスペシャライズド社をはじめとするメーカーが自社で風洞実験施設を所有し、機材やフォームの最適化に日々取り組んでいます。

 
 

彼らはランス・アームストロング本人に対して、フォームやポジションに関する聞き取りを行いながら、同じ実験や調整作業を繰り返し実施していました。いかに空力的に理想的なフォームであっても、ライダー本人の感覚や快適性を無視していては、本来のパフォーマンスは引き出せません。理想的なポジションをライダーに無理に当てはめるのではなく、ライダーの身体的特徴や能力と調和していることが重要です。

これはバイクフィッティングを実施する際にも同様です。柔軟性や姿勢などの身体的評価を行うだけでなく、ライダー本人の感覚や違和感などを丁寧にヒアリングしながら、対話を重ねて少しずつ最適なポジションへと近づけていきます。そのプロセスこそが、真に機能するバイクフィッティングの本質といえるでしょう。

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ライダーが「なぜそのように感じるのか?」を丁寧に掘り下げていくことこそが、バイクフィッティングにおけるアセスメント(評価)の核心です。



身体の動きや姿勢、力の伝達、そして違和感の背景には、必ず理由があります。それを見極めることで、単なる数値調整にとどまらない、本質的なフィッティングが可能となります。ライダーの主観とフィッターの客観をすり合わせるこの過程こそが、質の高いバイクフィッティングに繋がります。

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アセスメントにおいて確認すべき項目は非常に多岐にわたります。

股関節やハムストリングスの柔軟性、体幹の筋力、脊柱や頚椎の可動域、骨盤の動きや肩甲骨の機能、過去の既往歴に至るまで、全てがポジションに影響を及ぼします。さらに、ハンドルの高さやブラケットの角度、サドルの前後位置や高さなど機材面の調整も重要です。

こうした一つ一つの要素を丁寧に評価・整理することによって、ライダーの「現在の身体的状態」に適した、最適なバイクポジションを導き出すことが可能となります。バイクフィッティングは単なるセッティング作業ではなく、身体機能と機材の調和を探る繊細なプロセスです。

バイクフィッティングのプロセスは、適切なポジションの設定で完結するものではありません。フィッティング終了後には、ライダーが理想的なポジションを安定して取れるようになるために、身体的課題や動作上の改善点についても丁寧にお伝えしています。

すなわち、「どの部位をどのように修正・強化すれば、より理想的なポジションを無理なく維持できるか」を明確にし、フィッティングの精度と持続性を高めることが重要だと考えています。フィッティングは“セッティング”ではなく“育てていく”ものでもあるのです。

私にとっての原点は、やはりロードレースです。

現在はトライアスリートとして活動しておりますが、ツール・ド・フランスの映像を目にすると、今でも心が高鳴ります。持久系スポーツへの情熱の出発点であり、競技に対する姿勢や精神力の根幹を築いたのは、間違いなくロードレースの経験です。

 

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少しずつではありますが、脚のコンディションが整ってきています。

Ironman 70.3 Taiwanまで、いよいよあと4週間。仕上げの期間に入ります。焦らず丁寧に、ベストの状態でスタートラインに立てるよう調整を続けていきます。

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