Contents
大会当日の食事と糖質摂取に関する重要なポイント
Ironman Malaysia や Ironman 70.3 厦門、マラソンやハーフマラソンといったレースが目前に迫り、多くの方が最終調整の時期に入っています。このタイミングであらためて見直しておきたいのが、大会当日の「朝食」と「レース直前の補給」についてです
大会当日の朝は、レース開始の3〜4時間前に糖質中心の食事を摂ることが基本です。ご飯、うどん、パン(ジャムやはちみつ添え)といった消化の良い糖質主体のメニューが推奨されます。摂取量の目安は 700kcal前後(糖質150g程度)。胃腸の負担を避けるためにも、脂質や食物繊維、タンパク質の多い食事は控えましょう。
その後、レース1〜2時間前に、補食としてバナナ、カステラ、エネルギーゼリー等でさらに200〜300kcalを補うと、合計900〜1000kcalの摂取が可能になります。フルマラソンでは、体重65kgのランナーが約2700kcalを消費するため、事前のエネルギー確保としては妥当な量です。
注意点:レース直前の“過剰な糖質摂取”に要注意
意外と見落とされがちですが、レース30分前〜直前の過剰な糖質摂取は避けるべきです。ジェルやバナナを立て続けに摂取することで血糖値が急上昇し、インスリンの過剰分泌により低血糖状態に陥るリスクが高まります。実際、ローラー台レッスンでも同様の低血糖症状が確認されています。
レース直前の糖質摂取量は70g未満を目安に。
スポーツドリンク程度でとどめ、補給はレース中に分割して行うことが重要です。
レース成功の鍵は「試行錯誤」と「自分に合った戦略」
レース中の補給戦略や当日の食事内容は、個々の体質、消化吸収力、日常の食習慣に大きく左右されます。紹介している内容は、あくまでも一般的な指針であり、すべての方に完全に当てはまるわけではありません。
そのため、本番前の練習やシミュレーションの中で、何度も試行錯誤を重ね、自分自身にとって最も適した補給スタイルを見つけておくことが不可欠です。
この「自分に合った戦略」を確立することこそが、レース本番でのパフォーマンスを最大限に引き出す鍵となります。
残りはレース中の補給食で補います。ハーフマラソンなら前日は普通に食事し(ごはん1杯くらい多め)、当日は今回紹介した食事だけで十分と思います(ハーフマラソンを完走するのにかかる時間にもよりますが…)
レース直前の「過剰な糖質摂取」にご注意を
今回お伝えしたかったのは、レース直前における糖質の過剰摂取のリスクについてです。
マラソン大会などでは、レース開始の30分前にスポーツドリンクを手にし、バナナ、エネルギーゼリー、ジェルを立て続けに摂取されている方を見かけることがあります。しかし、このような直前の【過剰な糖質摂取】は推奨できません。
なぜなら、急激に血糖値が上昇すると、体はそれを下げるためにインスリンを多量に分泌し、結果として「低血糖状態(いわゆるインスリンショック)」を引き起こすリスクがあるからです。
とくにレース30分前に70g以上の糖質を摂取するのは過剰であり、この時間帯はスポーツドリンク程度にとどめておくのが安全です。
レース中の補給としては、1時間あたり100~150kcal(ジェル1つ程度)の糖質摂取で十分とされています。
この内容をお伝えしようと思った背景には、実際にローラー台での2時間トレーニング前にジェルを過剰に摂取し、低血糖状態に陥ったケースがあったためです。
なお、当日の食事や補給に関してはあくまでも「一般的な指針」であり、最終的にはご自身で試行錯誤を重ねながら、自分に合ったスタイルを確立していくことが大切です。
とはいえ、レース前の不安からくる糖質や水分の「摂りすぎ」は、かえってパフォーマンスの低下や体調不良を招く可能性があるということは、ぜひ覚えておいてください。